頭皮を押したとき赤くならない人は要注意
育毛のために最も大切なことは、頭皮の健康状態を保つことです。
しかし、頭皮の血行は、ほかの部分に比べても悪化しやすい傾向があります。その原因は二つあります。一つは、頭が心臓より高いところにあること。もう一つは、頭皮(頭頂部)には自ら動かせる筋肉が存在しないことです。
しかも、年を取るにつれて頭皮は硬くなります。頭皮は、男女とも20歳ごろが最も柔らかく、それ以降は加齢に従って硬化します。ことに男性はその傾向が顕著で、頭皮の硬い人ほど髪が薄くなりやすいともいわれています。つまり、頭皮の血行が悪いことが、薄毛や脱毛を促進させるのです。
ここで、生え際やつむじなど、頭を指で数秒間強く押し、指を離してみましょう。
このとき皮膚の表面が赤っぽくなれば血液循環は良好で、頭皮の健康は保たれていると考えていいでしょう。
しかし、赤くならずに白つぽいままだとすると、血液循環が悪化している可能性があります。血行不良が薄毛や脱毛を吹き起こしてしまう恐れがあるのです。
頭皮の血行を促すためにまず行っていただきたいのは、頭部への育毛マッサージです。
これに加えて行っていただきたいのが、育毛を促すツボ刺激になります。
自律神経を整える効果がある
そもそも薄毛に悩む人は、首や肩のこりに悩んでいることが多いものです。
首や肩がひどくこっていれば、脳へ通じる首の血管の血行も悪くなり、それがひいては頭皮の血行不全にもつながっていきます。
首や肩の血行を促すために、特に有効と考えられるのが後頭部にある風池(ふうち)と天柱(てんちゅう)という2つのツボです。
風池は、後頭部にあるうなじの外側のへこんだ部分(髪の生え際)にあります。天柱は、ぼんのくぼ(うなじの中央のくぼんだところ)の下から、親指の幅1本分外側に離れたところにあります。
この2つのツボは、首や肩のこりを解消し、頭部や目の血流を促して疲れを取り除くほか、自律神経(意思とは無関係に内臓や血管をコントロールしている神経)を整える効果があります。
行うのは、朝起きたとき、家事や仕事の合間、入浴時など、時間を見つけて1日数回行うとよいでしょう。
更年期以降の女性のホルモンバランスを整える
この育毛ツボ刺激は、更年期以降の女性に特に効く傾向があります。
薄毛や脱毛の原因としていちばんのやり玉に挙がるのが、先に述べたように遺伝的要因であり、次にはホルモンバランスの乱れです。
閉経を迎える更年期には、女性ホルモンの分泌が減少し、相対的に男性ホルモンが過剰になります。その結果、男性型脱毛症という脱毛に女性も悩むようになるのです。
「髪のボリュームがなくなってきた」「髪にコシがなく、少なく感じる」「髪の分け目が目立つ」など、女性の脱毛の半数は男性型脱毛症と考えられています。
この男性ホルモンが過剰に優位になるホルモンバランスの乱れを調整するのにも、ツボ刺激が役立ちます。育毛ツボ刺激によって、ホルモンバランスを整えることが、薄毛の進行を抑制するのに役立つでしょう。
地肌が見える状態でも5カ月後には改善
ここで、この毛髪ケアによって、髪がよみがえった女性の例をご紹介しましょう。
Hさん(48歳)は、40歳を過ぎたころから髪の毛が次第に薄くなり、髪にハリやコシがなくなってきました。風が吹くと髪の毛が乱れ、地肌が見えてしまうと訴えていました。
髪が細く弱々しくなっており、前頭部はかなり頭皮が透けて見える状態です。頭皮は硬くなっており、指で頭皮を動かそうとしても、あまり動きません。頭皮の血行の悪さがうかがわれました。肩こりも重症で、ときおり、ひどい頭痛も起こるということでした。
頭皮マッサージと育毛ツボ刺激を続けてもらったところ、5カ月後には、薄毛の状態が激的に改善しました。きれいに髪の毛が生え揃い、地肌も見えにくくなってきました。
育毛ツボ刺激を生活に取り入れ、いつまでも豊かな髪を保つために役立ててください。