東洋医学に基づき髪を育てる食材を厳選
漢方では、頭髪のことを、「血余(けつよ)」といいます。それは、文字どおり、余った血を意味します。つまり、血液の余ったものが髪にをるとされているのです。逆にいえば、血が足りないと、抜け毛、薄毛、白髪など、髪のさまざまな悩みが起こってきます。そこで、足りない血を補うことが、育毛の大原則となります。
古来、薬膳料理で重んじられてきたのが、「陰陽五行説」です。陰陽とは、森羅万象を二つの性質に分類する考え方です。五行は、その万物をさらに五つの基本要素から分類するもの。内臓の働きを五つに分類したのが五臓(肝・心・脾・肺・腎)になります。
東洋医学における五臓は、西洋医学的な内臓の考え方と必ずしも同じではありません。むしろ、内臓を含めた人体のさまざまな機能を、五つのグループに分類したものと考えてください。
全身の血液循環がよくなる
さて、育毛のために重要なのが、五臓のうち、腎と肝と脾の働きです。腎は、生命エネルギーの源です。腎が弱ると、髪も弱ります。肝は、血を補う働きがあります。血液の不足は、髪の状態が悪くなることに直結します。ですから、腎と肝の働きを高める食品が必要です。
それと並んで、大事なのが、脾の働きです。脾がよく働くと、血がサラサラになり、全身の血液循環がよくなります。頭皮の血行もよくなりますから、髪の毛にも栄養が行き届くことになります。
今回の育毛薬膳では、特に腎・肝・脾の働きを高める食品を選んでいます。それぞれの食品について、解説しましょう。
髪が少なくなってきた人にヒジキ
ヒジキは、腎と肝に効果のある食品です。漢方では、ケガで大量出血したかたや、貧血で悩むかたにヒジキが勧められてきました。この例からもわかるように、血を補う作用がとても高いのです。また、腎を高めることで、生命エネルギーを高め、髪を養う効果もあるでしょう。
ヒジキは、髪の悩み全般に勧められますが、なかでも特長を一つ挙げるとすれば、髪の毛の数が少なくなってきたかたに推奨される点です。ズバリ、ハゲに効くのがヒジキといってもよいでしょう。
タコは、肝の働きを助け、補血作用を高めます。さらに、脾の働きもよくするので、頭皮の血行が活発になり、髪の栄養状態をよくします。西洋医学的には、タコには血栓予防効果があるとされています。その点からも、髪の栄養状態をよくしてくれる効果が期待できます。
タコは、髪にコシ、ハリがないかたや、髪の毛がちぎれやすいかた、髪にボリュームがないかたにお勧めです。
レバーは、そもそも血を貯蔵する臓器ですから、血を補うのに格好の食品です。鶏レバーは、腎・肝・脾の働きを高めます。タコと同様に、補血作用に優れています。鶏レバーは消化力を高めますので、とった栄養が髪にもよく行き渡りやすくなります。
ハゲに効果のあるアボカド
豚レバーは、肝・膵の働きを高める効果があります。やはり、補血作用がメインの効果となるでしょう。肝の働きが弱ると、目に症状が出ることが多いので、例えば、眼精疲労や老眼があり、かつ、髪が薄くなってきたかたには特にレバーがお勧めです。
アボカドは、肝と脾に効果のある食品です。おなかの調子を整える働きがあり、西洋医学的には、肝機能をアップさせる効果があるとされています。このため、血中コレステロールを抑制し、余分なコレステロールの排出を促す作用が期待できます。特にアボカドをお勧めしたいのが、頭皮が脂っぼくて、ハゲに悩むかたです。
黒ゴマは、腎・肝・脾・肺とさまざまな効果を発揮する食品です。補血作用も優れており、髪の毛の悩み全般に効果的。なかでも、髪の毛がパサつきがちのかたで、抜け毛が多いというかたにいいでしょう。また、白髪を黒くする作用も、黒ゴマの大きな特長です。
育毛薬膳を、毎日の食事に取り入れて、髪の健康維持に役立ててください。