白髪が黒髪に戻るケースもありえるの
人間の髪には、なぜこうもいろいろな色があるのでしょうか。髪の研究で知られる島根大学の桧崎貴先生によると、メラニンには、茶色や黒い髪に含まれるユーメラニンと、赤毛などに含まれるフェオメラニンの二つのタイプの分子があります。
ユーメラニンは黒色、フェオメラニンは淡い黄色から赤色をしており、この二つのタイプのどちらをつくるかを調節することで、髪の色はさまざまな色合いを出すことが可能なのだそうです。
テロシナーゼという酵素がなければ、メラニンは生まれませんから、髪だけでなく、皮膚も体毛もすべて白くなってしまいます。白いウサギやネズミなどは、テロシナーゼのない例です。
メラニンの量が多ければ、髪は黒くなります。では、白い髪の毛母細胞にはメラニンがまったくないのかといえば、そうではありません。灰色の髪や白い髪を調べると、色素細胞を見つけることができます。ただし、細胞は弱々しく、チロシナーゼも出にくくなっているのです。
メラニン以外に髪の色をつくる物質はありませんから、加齢などによって色素細胞周辺の環境が変わり、メラニンの合成が抑制されることで白髪になります。一本の髪の途中から白くなる場合もあれば、全体が真っ白になる場合もあり、また、他方では、メラニンの合成がなんらかの理由で活発になったなら、白髪が黒髪に戻るケースもありえるのです。
黒い髪と白い髪ではメラニンの量が違うので、それぞれ専用のカラーリング剤は、含まれる成分が変わってきます。黒髪用は脱色作用が強く、白髪用は染色作用が強くなっています。